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[IIIYS-19-05] 乳汁中免疫グロブリン濃度の遺伝性と赤外分光スペクトル分析を用いた予測法の開発による抗病性育種への可能性
【目的】乳牛の乳房炎は発症率が高く抗病性育種が求められているが、乳汁中体細胞スコア(SCS)の遺伝率は0.08と低く、新たな選抜指標が望まれる。本研究では、乳汁中免疫グロブリン(Ig)濃度に着目してその遺伝性を解析し、乳汁赤外分光スペクトル(IRS)分析を用いた多検体測定への応用を試み、新規指標としての可能性を明らかにする。【方法】本研究では、士幌農協提供の乳汁からIgA、IgG、IgMをELISA法により測定した。①SCS4未満のサンプルのうち、最低2記録を有する1273頭から2901記録を抽出し、Igの遺伝率と反復率を推定した。②IRSを有する1130サンプルについて、複数の予測法を用いてIRSからIgを予測し、交差検証により予測精度を評価した。③②のサンプルを産次により資源集団とテスト集団に分割し、テスト集団のIgを予測した。実測値と予測値を一般線形モデルに当てはめ各環境効果を推定し、その類似性を評価した。【結果】①各Igの遺伝率、反復率ともに0.31~0.41と中程度の値が推定された。②各予測式の決定係数は0.31~0.38と中程度であり、予測式間に精度の差はなかった。③各環境効果は実測値と予測値で類似し、予測値により環境効果は推定可能であることが示唆された。以上の結果より、IRSから予測したIgを抗乳房炎育種の評価指標に応用できる可能性が示唆された。