育種・遺伝Ⅱ

[VI-20-01] リアクションノルムモデルを用いたデュロック種の一日平均増体重における耐暑性遺伝的能力評価手法の検討

*Yo Fukuzawa^1,3, Ogawa Shinichiro¹, Toshihiro Okamura¹, Motohide Nishio¹, Kazuo Ishii¹, Hiroshi Takahashi², Kazuyuki Tashima², Kotaro Akachi², Masahiro Satoh³ (1. ILGS, NARO, 2. Global Pig Farms, 3. Tohoku Univ.)

【目的】温暖化進行に伴う暑熱ストレス増大が養豚経営にもたらす影響は重大と予想され，耐暑性に関する遺伝的能力評価手法の開発が求められている．本研究では，代表的な雄系品種であるデュロック種の一日平均増体重（ADG, g/日）を対象に,温度負荷値（TL, °C）を暑熱ストレス指標としたリアクションノルムモデル（RNM）分析を行い、耐暑性に関する遺伝的能力評価の可能性について検討した．【方法】グローバルピッグファームとその関連４農場において2000年から2023年の間にデュロック種54,750頭から収集されたADGの記録、ならびに農研機構メッシュ農業情報データシステムにより収集された各農場地点における日最高気温の記録を用いた． 母数効果として同期群（農場×出生年×２ヵ月毎），性, 体重（１次回帰）およびTL（１次回帰）, 変量効果として個体の相加的遺伝効果（a₀）, TLに応答する個体の相加的遺伝効果（a₁）および誤差とした. TLは, 記録の測定前８週間に最高気温が25℃を越えた日の平均最高気温とした．【結果】遺伝分散はa₀で536.7，a₁で36.4と推定され、TLに応答する遺伝分散が確認できた．a₀とa₁の遺伝共分散は-93.3，誤差分散は505.2であった．TLが0 ~ 8の範囲内でADGの遺伝率は0.38 ~ 0.73と変化し、リアクションノルムモデルを用いた耐暑性の遺伝的能力評価の可能性が示唆された．