育種・遺伝Ⅱ

[VI-20-02] ブタ離乳総体重における暑熱負荷値を用いたリアクションノルムモデルのメリット

*Toshihiro Okamura¹, Yo Fukuzawa^1,2, Shinichiro Ogawa¹, Motohide Nishio¹, Kazuo Ishii¹, Hiroshi Takahashi³, Kazuyuki Tashima³, Kotarou Akachi³, Masahiro Satoh² (1. Institute of Livestock and Grassland Science, NARO, 2. Tohoku Univ., 3. Global Pig Farms, Inc.)

【目的】ブタ繁殖形質における暑熱負荷値を1次の変量回帰項としたリアクションノルムモデル（以下、RNモデル）とそれを含まないモデル（以下、通常モデル）における推定育種価（以下、EBV）を比較し、RNモデルのEBV利用におけるメリットを検討した。【方法】5農場のランドレース種集団より測定した離乳総体重を分析対象とした。6241頭からなる22123記録を用いた。暑熱負荷値として、分娩から9週前～分娩後3週間の日最高気温を用いて、閾値22℃以上の積算を日数で除した値を暑熱負荷値として用いた。通常モデルでは、母数効果として産次、農場、年、月、交雑、哺育開始頭数、測定時子豚日齢を、変量効果として交配雄、個体、永続的環境効果を含めた。RNモデルではそれらに加え、暑熱負荷値の1次母数回帰項および1次の個体変量回帰項と永続的環境効果項を含めた。遺伝的パラメーターおよび育種価の推定はBLUPF90＋を用いた。【結果】通常モデルのEBVとRNモデルのEBV間の相関は、記録時の暑熱負荷値の時が最も相関が高く、通常モデルは記録時の暑熱環境の影響を受けていることが示唆された。さらに、暑熱環境が著しく変化した場合には、通常モデルのEBVとRNモデルのEBVで上位個体の順位に変動があり、暑熱環境の変化がある場合にはRNモデルのほうが有用であることが示唆された。