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[VII-20-20] 心不全により摘発された豚のベッカー型筋ジストロフィーおよび豚灌流心を用いた不整脈のex vivo評価系
【背景】豚では麻酔や過度なストレス時の突然死が知られ、我々はその中にジストロフィン変異による心不全が含まれることを明らかにした。本研究では、心筋症を特徴とするベッカー型筋ジストロフィー(BMD)豚モデルを確立し、摘出心臓を用いたex vivo評価系による心機能を解析した。【材料と方法】①ジストロフィン変異を確認した雌豚を選抜、交配させた。その産子を対象に、イソフルラン吸入麻酔下での心電図検査、病理組織学的検索を実施した。②再び雌豚を交配させ、その産子から心臓を摘出し、ランゲンドルフ法による灌流心を作成、不整脈を誘起し、心電図記録、光学マッピング解析を実施した。【結果】①保因豚の一部では、麻酔濃度を上昇させると心室期外収縮やチアノーゼを示し、剖検時に心嚢水の増量や心室の拡張が認められた。組織学的には心筋線維の不整な走行や顆粒状変性がみられた。②灌流心では、イソフルラン灌流のみでは不整脈が誘発されなかったが、保因豚の一部では、アドレナリン注入後に多形性心室頻拍を示し、心室細動に至った。光学マッピングではリエントリー様の異常興奮伝播が観察された。【考察】ジストロフィン変異保因豚において生体および摘出灌流心の両方で、麻酔による致死的不整脈発生が再現された。豚の突然死または心不全においては、ジストロフィン異常を検討する必要があると考えられた。