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[XIYS-19-01] 若齢黒毛和種ウシにおける精巣動脈末端の形態学的特徴
性成熟前のウシ精巣において、血管系は酸素や栄養素の運搬、精巣の温度調整を行っており、正常な造精機能の確立のために重要な役割を果たす。このため、種雄牛選抜に先立って、精巣の血流評価による精巣機能の予測が期待されるが、性成熟前のウシの精巣血管系の精巣間の差については殆ど明らかにされておらず、再現性の高い血流評価技術の確立が妨げられている。そこで、本研究では、肉眼解剖学的観察により、性成熟前の黒毛和種ウシにおける精巣動脈の走行パターンの精巣間差を明らかにすることを目的とした。4~5ヶ月齢雄ウシの去勢直後の精巣から精巣上体を除去し、白膜直下の精巣血管を観察・比較したところ、精索内や精巣尾端の動脈は、精巣内で3次元的に不規則に折りたたまれていた。一方、精巣外側面に位置する精巣動脈の末端は、精巣の頭端から尾端に向かう縦方向の高い直線性を有し、その走行パターンは精巣ごとに4種類に大別できることを見出した。同血管の太い側から細い側に向けて色素液を注入したところ、精巣の実質部から蔓状静脈叢まで色素液が行き渡ることを確認し、観察した精巣表面の血管が精巣動脈の起始部であることを確認した。以上より若齢黒毛和種において、精巣血管には精巣間差があり、特に精巣動脈の末端においては走行パターンが4種類に大別できることがわかった。最も精巣間差の小さい精巣動脈末端から精巣機能の評価を行う技術が期待できる。