[ODP-002] Comparative genomic analysis of Mycobacterium intracellulare clinical strains
肺MAC症は本邦で急増している難治性呼吸器感染症である。疾患の発症・進展に寄与する病原因子を同定するには,臨床菌株を含めたゲノム解析が必要である。今回,起因菌種がM. intacellulareと診断された本邦肺MAC症患者由来菌株と,NCBIゲノムデータベースに登録されているM. intacellulareおよび類縁菌種(M. paratintracellulare, M. indicus pranii, M. yongonense)を含めた合計55菌株について,比較ゲノム解析を行った。臨床菌株は,typical M. intacellulare群とM. paratintracellulare-M. indicus pranii群に大別された。全ゲノム配列アライメント解析により,average nucleotide identityは96%以上,alignment percentageは70%以上であったことから,M. intacellulareと類縁菌種のゲノム配列の相違は亜種レベルにとどまると判断された。臨床菌株において,脂質代謝(fadE3, fadE33),トランスポーター(mce3),type VII分泌装置(ESX-2 system)の遺伝子で変異が集積していた。本研究により,M. intacellulareと類縁菌種の分類に対する再考の必要性,および菌株間の多様性に寄与する遺伝子群が示唆された。