第94回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表(ODP)

1 微生物の分類

[ODP1B] b. 微生物の検出・同定の技術

[ODP-005] 山口県における肉用鶏のサルモネラの汚染実態と薬剤耐性について

○山本 倫也1,豊福 肇2,溝手 朝子3 (1山口県大院・健康福祉,2山口大・共同獣医,3山口県大・看護栄養)

【目的】サルモネラは,動物由来感染症の原因菌として知られ,公衆衛生上の主要な懸念事項である.本研究では,山口県における肉用鶏のサルモネラ汚染実態と分離株の薬剤耐性について調査した.
【方法】2018年11月から2020年7月までに,山口県の9地域の32農場において,肉用鶏計185羽(計37鶏群)から腸内用物を採取した.標準試験法に則りサルモネラを単離した後,血清型を決定した.薬剤感受性試験は,10種の薬剤を用い,微量液体希釈法によりMICを測定した.
【結果および考察】S. Schwarzengrundが23農場の76羽(41.1%)から,S. Infantisが7農場の13羽(7.0%)から分離された.陽性農場の分布や分離株の血清型に地域差はみられず,陽性農場は広く分布していた.分離株の薬剤耐性率は,S. Schwarzengrund(238株)はABPC 0.8%,SM 100%,KM 49.2%,TC 96.6%,TMP 97.9%,S. Infantis(43株)はABPC 34.9%,CTX 32.6%,SM 100%,TC 100%で,S. InfantisはKMやTMP耐性株は不検出となり,血清型による差がみられた.S. Schwarzengrundについて,KM耐性率の高い地域がみられるとともに,調査時期により薬剤耐性パターンが異なる農場が確認された.特定の種鶏場からの種卵の導入とKM耐性菌の出現に関連がみられ,種鶏場段階で種卵の薬剤耐性菌による汚染が推察された.