[ODP-011] Bacterial transport by amoeba that depend on symbiotic bacteria involves the Na+/H+ antiporter NhaA
本研究室では以前,共生細菌としてNeochlamydia S13(クラミジアの一種)を持つアメーバ(S13アメーバ)が,ヒト病原性細菌(大腸菌,サルモネラなど)を固形培地上で共生細菌依存的に運搬する現象を報告した(Okubo et al, Environ Microbiol Rep, 2018)。トランスポゾン挿入株ライブラリーを用いたスクリーニングにより,その現象にはアメーバに運ばれる細菌のnhaA 遺伝子(Na+/H+逆輸送体,幅広い菌種がホモログを保持)が関与していることが示唆された。本研究では,運搬現象とnhaA遺伝子との関係性を明らかにするためにEscherichia coli DH5α(元株)からnhaA欠損株,再導入株を作出し実験に用いた。さらにNhaA阻害剤である2-Aminoperimidine(2-AP)を添加した培地でも実験を行った。運搬実験ではS13アメーバと細菌の混合液をLB寒天培地にスポットし,これを30℃で培養し経時的に観察した。その結果,欠損株では運搬現象が見られず,再導入株では再び見られた。グラム染色により菌体の形状を比較すると,欠損株は細長いフィラメント状となったのに対し,再導入株では元株と同様であった。2-AP添加試験では,濃度依存的に運搬現象は抑制された。高濃度の2-AP存在下では元株がフィラメント状となり,欠損株と同様の形態を示した。以上からnhaA遺伝子の欠損あるいは機能阻害によって細菌の形態が変化し,そのことが運搬現象の有無に影響していると考えられた。そこで,抗菌薬を用いて細菌のフィラメント状への形態変化を誘導した後,運搬現象が見られるかどうかの検討を進めている。