The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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2 Microbial Ecology

[ODP2D] d. Others

[ODP-027] Effects of antibiotic treatment until weaning on nonalcoholic steatohepatitis in model mice

○Nozomi Fujimoto, Miyuu Higasa, Akiko Sakurai, Keiko Kataoka (Dept. Microbiol. Genetic Anal., Sch. Med., Tokushima Univ.)

腸内環境の相違と様々な疾患の発症リスクの関連が注目されており,また,生後早期の腸内環境がその後の短期・長期の健康状態に影響する可能性がある。そこで,高脂肪の特殊飼料の摂取により脂肪肝から非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を発症するモデルを用いて,出生直後から離乳期までの抗菌薬への暴露が腸内環境と脂肪肝炎の指標に及ぼす影響を検討した。C57BL/6Jマウスに出生直後から離乳する3週齢までの間,飲料水の代わりにバンコマイシン,ポリミキシン,アンピシリンの水溶液を自由摂取させ,抗菌薬暴露を行った。4週齢からは通常食(MF)を摂取させ,8週齢から28週齢の間はウェスタンダイエット(D12079B,脂肪21%,ショ糖34%,コレステロール0.15%),を摂取させ,毎週体重測定を行い,実験期間終了後に血清と精巣周囲脂肪組織,肝臓を採取した。肝臓のHE染色標本上での脂肪変性の割合,小葉内炎症をスコア化し,血清ALT値と合わせてNASHの評価を行った。また,抗菌薬暴露後の4週齢時に採取した便のグラム染色を行い,菌叢への影響を観察した。陽性対照群では,通常食群に比べて有意に体重が増加し,血清中ALT値も優位に上昇し,組織標本上で肝臓への脂肪の蓄積,小葉内炎症が認められた。幼若時の抗菌薬暴露は体重増加量,精巣周囲脂肪組織の重量,血清中ALT値への有意な影響はなかった。バンコマイシンに暴露した群については小葉内炎症の少ない傾向がみられた。この群では4週齢時の便中の菌数,特にグラム陽性菌の減少が起こっており,抗菌薬投与による腸内環境の変化に伴って小葉内炎症が軽減した可能性が考えられる。