[ODP-042] Genomic diversity of EHEC O157 clade 8 and variation in the Stx2 and Stx2 phage subtypes
腸管病原性大腸菌(EHEC)主要病原因子である志賀毒素(Stx)のうち,Stx2はEHEC感染症重症化の危険因子とされている。Stx2はファージにコードされており,その産生性はStx2ファージの誘導と関連している。我々は以前の解析において,O157:H7 EHECにおいてStx2のバリアントであるStx2aをコードするファージのサブタイプによって宿主菌のStx2産生量が異なることを明らかにし,clade 8と呼ばれるO157の高病原性系統内にStx2高産生性の亜系統が存在することを示唆する結果を得ているが,この解析は分離地域が限定された菌株を用いた解析であった。本研究では,clade 8のゲノム多様性とStx2aファージサブタイプおよびStx2産生量のバリエーションの解明を目指し,まず国内147株と公共データベース364株のclade 8株のゲノム配列を用いた系統解析を行った。次に,clade 8内で維持されているstx2aとstx2cの参照配列に対するリードマッピングにより,両遺伝子の保有を厳密に解析した(配列相同性98%以上)。また,stx2a陽性株を対象にStx2aファージのサブタイピングを行い,タイピングできないファージについては,ゲノム配列を決定した。さらに,系統解析で同定した各亜系統及び各ファージサブタイプを代表する菌株(86株)のStx2産生量を測定した。本会では,以上の解析によって得られたclade 8のグローバルな集団構造,clade 8内におけるStxとStx2ファージの多様性,Stx2aファージサブタイプとStx2産生能との関連性に関する知見を報告する。謝辞:菌株を分与いただきました千葉県衛生研究所の横山先生と他の地方衛生研究所の諸先生方に感謝します。