[ODP-061] Novel carbohydrate binding mechanism of proteins secreted by the T9SS in periodontal pathogens
歯周病細菌Porphyromonas gingivalis(Pg)は9型分泌機構(T9SS)によりジンジパインプロテーゼなどの病原タンパク質(T9SS分泌タンパク質)を分泌する。T9SS分泌タンパク質の多くは菌体表面でA-LPSと呼ばれるある種のリポ多糖に共有結合する。我々はA-LPSの糖鎖の生合成に関わる遺伝子を同定し,糖鎖に関わる糖の一つが緑膿菌に存在する構成糖の生合成系(Wbp経路)と類似な系で合成されることを報告した(Shoji et al. 2014)。T9SS分泌タンパク質はC末端領域(CTD)に共通性があり,その多くはPorUプロテアーゼによりCTDが切断・除去された後,C末端側がA-LPSに共有結合すると推測された。今回,A-LPS結合型T9SS分泌タンパク質について,糖鎖をある程度除去した後,質量分析法によりC末端アミノ酸領域に付加している糖の同定を試みた。その結果,T9SS分泌タンパク質はC末端側にセリン-ジアミノグルクロナミドの付加を認めた。一方,T9SSを有する類縁菌のTannerella forsythia(Tf)ではグリシン-ジアミノグルクロン酸の付加を認めた。また,Pgにおけるジアミノグルクロナミド合成にはPGN_1234(WbpSと命名)が関わること,これらの付加物においてPgではA-LPS糖鎖合成に関わるVimAタンパク質はセリン,TfのVimAはグリシンの付加に寄与することも示唆された。これらの結果から,糖鎖結合型T9SS分泌タンパク質には新たな合成経路(Wbp/Vim経路)により合成される糖とアミノ酸が結合していることが示唆された。