The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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4 Molecular Microbiology

[ODP4C] c. Protein Structure and Function

[ODP-063/WS6-6] Structure-based investigation of hyaluronidase activity in Streptococcus pyogenes

○Kotaro Higashi1,2, Masaya Yamaguchi1, Masanobu Nakata1,3, Katsuki Takebe4, Tomoko Sumitomo1, Mamoru Suzuki5, Shigetada Kawabata1 (1Dept. Oral Microbiol., Grad. Sch. Dent., Osaka Univ., 2Dept. Prosthodont. Gerodontol. Oral Rehabil., Grad. Sch. Dent., Osaka Univ., 3Dept. Oral Microbiol., Grad. Sch. Med. & Dent. Sci., Kagoshima Univ., 4Dept. Oral Maxillofacial Surg. II, Grad. Sch. Dent., Osaka Univ., 5Inst. Protein Res., Osaka Univ.)

化膿レンサ球菌は咽頭炎や扁桃炎,劇症型レンサ球菌感染症などの起因菌である。化膿レンサ球菌のヒアルロン酸分解酵素HylAはM4型の株では活性を持つが,M1型など多くのM血清型の菌株では172番目のアミノ酸残基の変異により活性を持たない。本研究では,この差異に着目し,分子系統解析と構造解析を行った。化膿レンサ球菌のhylA遺伝子配列を用いて分子系統関係を解析した。その結果,M4型の活性型HylAは,他の菌種の活性型ヒアルロン酸分解酵素が水平伝播したのではなく,M1型などの不活性型HylAから派生したことが示唆された。次に,M1型化膿レンサ球菌の不活性型HylAについて,X線結晶構造解析を行い分子置換法にて構造を決定した。不活性型HylAの立体構造において,活性残基は保存されていた。肺炎球菌の活性型ヒアルロン酸分解酵素と立体構造を比較すると,不活性型HylAの172番目のアミノ酸残基付近はディスオーダー領域であった。すなわち,アミノ酸残基の変異によって構造不安定性が生じ,活性残基の向きが安定しないため,酵素活性を示さないことが示唆された。一方で,不活性型HylAとヒアルロン酸のドッキングシミュレーションを行ったところ,複数の結合予想モデルが得られた。既報の糖鎖と結合した肺炎球菌ヒアルロン酸分解酵素の構造と重ね合わせたところ,近似した結合状態が認められた。以上の結果より,M4型化膿レンサ球菌のHylAは,進化の過程におけるアミノ酸変異で活性型となったことが示された。また,M1型化膿レンサ球菌のHylAは構造から,活性残基は保存されており,ヒアルロン酸との結合能は有しているが,構造の不安定化によって分解活性が失われていることが示唆された。