第94回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表(ODP)

5 病原体と感染症(疫学を含む)

[ODP5B] b. 臨床微生物の検出・同定技術

[ODP-092] CRISPR-Cas13を用いた細菌遺伝子検査用抗菌カプシドの作製条件の最適化

○西川 裕太郎1,2,氣駕 恒太朗2,渡邊 真弥2,XinEe Tan2,鈴木 貴子1,下條 誉幸1,崔 龍洙2 (1栄研化学株式会社,2自治医大・医・細菌学)

【目的】CRISPR-Cas13を細菌に導入すれば特定の遺伝子を保有する細菌を選択的に殺菌することができる。我々は,CRISPR-Cas13を対象細菌に導入するため,バクテリオファージ(ファージ)のカプシドにこの遺伝子群を搭載した抗菌カプシドを開発した。また,本抗菌カプシドの塩基配列特異的殺菌活性を利用して,遺伝子増幅が不要の細菌遺伝子検査法およびジェノタイピング法を開発している。本抗菌カプシドの作製は,ブドウ球菌病原遺伝子島(SaPI)とヘルパーファージが細菌の染色体上に共存する条件下で,マイトマイシンC等によるSOS応答を誘導して行う。しかし,これまでの抗菌カプシド作製の条件では収量が低く,製品化が難しいという問題があった。そこで我々は,抗菌カプシドの収量を上げるため,作製条件の最適化を行った。
【方法】上記作製法を元に,様々な条件下で作製して得られた抗菌カプシドを黄色ブドウ球菌に添加し,形質導入効率を比較することで抗菌カプシドの収量を比較した。
【結果】培地の組成,培養温度,マイトマシンの濃度・添加のタイミングを最適化することで,抗菌カプシドの収量を約10倍に増やすことに成功した。