[ODP-119] Actinomyces orisの初期付着・凝集に対する口腔細菌が産生する有機酸の影響
【目的】Actinomyces orisは初期付着菌として知られ,1型線毛(FimP, FimQ)を介して歯面上の唾液糖タンパク質への付着を行い,2型線毛(FimA, FimB)を介し共凝集が生じ,口腔バイオフィルムを形成する。口腔内に存在する有機酸である短鎖脂肪酸(SCFAs)は口腔細菌が産生する代謝産物である。本研究は,A. orisの初期付着・凝集(INAC)に対する有機酸の影響,線毛と有機酸の関係性の解明を目的とした。
【方法】A. oris MG1株(親株)と各線毛遺伝子欠損株はヒト唾液コートした6穴培養プレートにて0.25%スクロース添加TSB培地(TSBs)を用いて3時間前培養し,濃度設定したSCFAs添加TSBsを用いて1時間培養した。付着菌はLIVE/DEAD染色を行いCLSMによる観察か,回収しPBS希釈後にBHI寒天培地上で培養しコロニー数を計測した。
【結果】60mM SCFAs (pH4.7) はA. oris MG1のINACを増加させ,中でも酢酸や酪酸,プロピオン酸による生菌数の有意な増加を認めた。線毛遺伝子欠損株の短鎖脂肪酸刺激INACはMG1より減少した。MG1およびfimA遺伝子欠損株(ΔfimA)において,HCl (pH4.7) は60mM酪酸よりINACを減少させ,死菌も増加させた。NaOHで調整した60mM酪酸(pH7.2)によりMG1のINACは減少し,塩酸で調節した60mM酪酸Na (pH4.7) によりMG1のINACは増加した。5mM酪酸,15mMプロピオン酸,40mM酢酸の混合条件(pH4.7)は,60mM酪酸と同様の結果になった。この3つの短鎖脂肪酸の酸解離定数は4.7であった。
【考察】歯垢中から産生される有機酸の中でも酪酸,プロピオン酸,酢酸の単独および混合は,1型及び2型線毛依存的なA. orisの生菌の付着および凝集を刺激すると考えられた。その効果には,pH4.7における非解離酸の存在が重要と考えられた。
【方法】A. oris MG1株(親株)と各線毛遺伝子欠損株はヒト唾液コートした6穴培養プレートにて0.25%スクロース添加TSB培地(TSBs)を用いて3時間前培養し,濃度設定したSCFAs添加TSBsを用いて1時間培養した。付着菌はLIVE/DEAD染色を行いCLSMによる観察か,回収しPBS希釈後にBHI寒天培地上で培養しコロニー数を計測した。
【結果】60mM SCFAs (pH4.7) はA. oris MG1のINACを増加させ,中でも酢酸や酪酸,プロピオン酸による生菌数の有意な増加を認めた。線毛遺伝子欠損株の短鎖脂肪酸刺激INACはMG1より減少した。MG1およびfimA遺伝子欠損株(ΔfimA)において,HCl (pH4.7) は60mM酪酸よりINACを減少させ,死菌も増加させた。NaOHで調整した60mM酪酸(pH7.2)によりMG1のINACは減少し,塩酸で調節した60mM酪酸Na (pH4.7) によりMG1のINACは増加した。5mM酪酸,15mMプロピオン酸,40mM酢酸の混合条件(pH4.7)は,60mM酪酸と同様の結果になった。この3つの短鎖脂肪酸の酸解離定数は4.7であった。
【考察】歯垢中から産生される有機酸の中でも酪酸,プロピオン酸,酢酸の単独および混合は,1型及び2型線毛依存的なA. orisの生菌の付着および凝集を刺激すると考えられた。その効果には,pH4.7における非解離酸の存在が重要と考えられた。