[ODP-121] ウエルシュ菌α毒素はC2C12細胞の筋分化を抑制する
【目的】ウエルシュ菌のα毒素は,ホスホリパーゼC (PLC) やスフィンゴミエリナーゼ(SMase)活性を有し,本菌によるガス壊疽の原因毒素である。α毒素は,マウスの筋肉に投与すると筋肉組織の破壊を誘導し,ガス壊疽の感染拡大に関与する。これまでに,本毒素はマウス筋芽細胞であるC2C12細胞に対して細胞毒性は示さなかった。そこで,α毒素のC2C12細胞の筋細胞分化過程に対する影響を検討した。
【方法と結果】C2C12細胞は,培地をウマ血清を含むDMEMに交換後,3から5日間のインキュベーションで,多核の筋管細胞に分化する。そこで,C2C12細胞にα毒素を添加して分化過程を観察すると,本毒素処理で筋管形成が阻害された。次に,筋分化を促進する転写因子であるMyoDとMyogeninの発現量を調べると,未処理細胞では,分化に伴ってMyoDとMyogeninの発現が増加するが,α毒素処理では,これらの発現は抑制された。一方,筋の分化を抑制するMyostatinの発現を検討すると,未処理細胞と比較して本毒素処理した細胞で増加した。α毒素のSMase活性によりスフィンゴミエリン(SM)を分解して生成するセラミド(Cer)はC2C12細胞の筋分化を抑制することが知られている。そこで,α毒素処理後のCer産生を測定すると,本毒素処理でC2C12細胞内のCer産生が短時間で増加した。さらに,CerアナログであるC2-cerをC2C12細胞に作用させると,未処理細胞と比較して分化が抑制された。
【考察】ウエルシュ菌α毒素は,C2C12細胞において,そのSMase活性により,SMを分解してCerを産生する。これによりMyoDとMyogeninの発現が減少し,さらに,Myostatinの発現が増加する。その結果,筋管形成が抑制されると考えられる。
【方法と結果】C2C12細胞は,培地をウマ血清を含むDMEMに交換後,3から5日間のインキュベーションで,多核の筋管細胞に分化する。そこで,C2C12細胞にα毒素を添加して分化過程を観察すると,本毒素処理で筋管形成が阻害された。次に,筋分化を促進する転写因子であるMyoDとMyogeninの発現量を調べると,未処理細胞では,分化に伴ってMyoDとMyogeninの発現が増加するが,α毒素処理では,これらの発現は抑制された。一方,筋の分化を抑制するMyostatinの発現を検討すると,未処理細胞と比較して本毒素処理した細胞で増加した。α毒素のSMase活性によりスフィンゴミエリン(SM)を分解して生成するセラミド(Cer)はC2C12細胞の筋分化を抑制することが知られている。そこで,α毒素処理後のCer産生を測定すると,本毒素処理でC2C12細胞内のCer産生が短時間で増加した。さらに,CerアナログであるC2-cerをC2C12細胞に作用させると,未処理細胞と比較して分化が抑制された。
【考察】ウエルシュ菌α毒素は,C2C12細胞において,そのSMase活性により,SMを分解してCerを産生する。これによりMyoDとMyogeninの発現が減少し,さらに,Myostatinの発現が増加する。その結果,筋管形成が抑制されると考えられる。