The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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6 Virulence Factors and Biophylaxis

[ODP6B] b. Toxins, Effectors, and Bioactive Substances

[ODP-129] Involvement of Streptococcus pyogenes-released extracellular vesicles in the pathogenicity

○Kazunori Murase1, Chihiro Aikawa1, Takashi Nozawa1, Ayako Nakatake2, Taisei Kikuchi3, Ichiro Nakagawa1 (1Dept. Microbiol., Grad. Sch. Med., Kyoto Univ., 2HTLV-1/ATL Res. Ctr., Fac. Med., Univ Miyazaki., 3Dept. Infec. Dis., Fac. Med., Univ Miyazaki)

【背景および目的】細菌において,大腸菌をはじめとする多くのグラム陰性菌が,20-250nmの細胞外膜由来の小胞(Extracellular Vesicle; EV)を産生することが知られており,近年では,黄色ブドウ球菌やクロストリジウム・ディフィシルなどのグラム陽性菌からもEVの産生が確認されている。我々は,これまでの研究成果から,上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌として知られるグラム陽性菌であるA群レンサ球菌(Group A Streptococcus; GAS)がEVを産生することを明らかにしており,本研究では,EVが内包するタンパク群を網羅的に同定し,病原性への関与を明らかにする事を目的とする。
【方法】劇症型・非劇症型由来のGAS2株(SSI-1およびJRS4)から産生されたEVについて,Nano tracking analyzer(NTA)を用いた定量解析およびサイズ分布を調べた。また,ショットガンプロテオーム解析を行い,各株由来のEVに含まれるタンパクを網羅的に同定した。さらに,EVによるTHP-1細胞への細胞障害性および炎症応答についても検証した。
【結果および考察】NTAの解析結果から,SSI-1株はJRS4株に比べ,約3倍高いEV産生量を示し,さらにSSI-1由来のEVが約1.4倍大きいことが明らかとなった。プロテオームの解析結果から,SSI-1由来のEVにおいては62のタンパクが,JRS4由来のEVにおいては43のタンパクがそれぞれ同定され,このうち41が両者に共通なタンパクであり,streptolysin OやNAD-glycohydrolaseなど多数の病原性関連因子が確認された。また,SSI-1株由来のEVsはエンドサイトーシスを介してTHP-1に取り込まれた後,slo依存的な細胞障害性を引き起こすとともに,種々の炎症応答を誘導することも明らかとなった。