The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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6 Virulence Factors and Biophylaxis

[ODP6B] b. Toxins, Effectors, and Bioactive Substances

[ODP-151] Potential pathogenicity of S. mitis strain Nm-65 based on the complete genomic information

○Atsushi Tabata1, Hisashi Ohkuni2, Toshifumi Tomoyasu1, Hideaki Nagamune1 (1Div. Biosci. & Bioindust., Grad. Sch. Tech., Indust. & Social Sci., Tokushima Univ. Grad. Sch, 2Health Sci. Res. Inst. East Japan)

【目的】川崎病患児より分離されたStreptococcus mitis Nm-65株は,ヒト血小板凝集活性および細胞障害活性を示すS. mitis由来ヒト血小板凝集因子(Sm-hPAF)を分泌する。我々はこれまでに,本因子の細胞障害特性や病原性への寄与について検討を行ってきた。今回は,Nm-65株の全ゲノム配列情報を明らかにし,そのゲノム情報に基づいて本株の潜在的な病原性について検討した。
【方法】Nm-65株の全ゲノム解析は,ショートリードおよびロングリードシーケンサーで得られたリードのハイブリッドアセンブルを行い,完全長配列を得た。得られた配列情報に基づいて,Nm-65株が保有する細胞障害因子(Sm-hPAFおよびmitilysin)のコード遺伝子の周辺遺伝子配座を,S. mitis基準株と比較した。さらに,これらの細胞障害因子の遺伝子発現量の比較や,組換え体を用いた細胞障害性試験も行った。
【結果と考察】Nm-65株のゲノムサイズは約2.09Mbpであり,1箇所のCRISPR-Cas領域,3箇所のprophage領域が確認された。Nm-65が産生する2種の細胞障害因子のコード遺伝子は,S. mitis基準株ゲノムと比較すると特定の領域に挿入されていたが,その挿入イベントへのCRISPR-Casシステムおよびファージ感染との関連性は低いと考えられた。また,mitilysinコード遺伝子の発現量はSm-hPAFコード遺伝子よりも多く,mitilysin組換え体の細胞障害性はSm-hPAF組換え体よりも強かった。以上より,Nm-65株の細胞障害性にはmitilysinの寄与が大きいことが考えられた。