第94回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表(ODP)

6 病原因子と生体防御

[ODP6D] d. 免疫回避機構・生体内増殖機構

[ODP-160] BCG感染THP-1マクロファージ産生オステオポンチンとエクソソーム

○松葉 隆司1,白 高娃2,仁木 敏朗3,服部 俊夫2 (1鳥取大・医・細菌,2吉備国際大・保健医療福祉,3香川大・医・免疫)

マクロファージ(MØ)の産生するオステオポンチン(OPN)は免疫,炎症,癌の進行,細胞生存率や増殖等に関与する。OPNはトロンビンやマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)等による酵素切断依存性に結合する分子や活性が異なる。近年,エクソソーム(Exo)を含む細胞外小胞(Ev)により多くの細胞分泌因子(サイトカインや核酸等)が標的に輸送されることがわかってきた。病原結核菌やBCG感染したMØから分離されたExoによるTNF-αおよびIL-12産生性,好中球やMΦの動員誘導性が報告されているが,感染MØが産生するOPN分泌機構の詳細は明らかとなっていない。今回,ヒト単球由来THP-1をPMAによりマクロファージ化(THP1-MØ)させた後にMycobacterium bovis BCG感染させOPN産生とEV内包について調べた。LPS刺激THP1-MØのOPNは,比較対照とした。培養上清中のExoは,Exo-Prepあるいは超遠心分画法により得た。PMA刺激しMØ化したTHP1-MØのOPN産生は,ELISAおよびウエスタンブロットにより検出した。THP1-MØのOPNはLPS刺激により産生量が増加し,Exo量およびOPN内包量も増加する一方,BCG感染では抑制された。BCG感染依存性にOPNのExo内包抑制が,感染細胞周囲(局所)へのOPN浸潤と肉芽腫形成誘導については,今後の検討課題である。