The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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6 Virulence Factors and Biophylaxis

[ODP6E] e. Basic Studies using Infection Model

[ODP-171] Effect of Fusobacterium nucleatum on COPD model mice

○Noriaki Kamio1, Ryuta Suzuki1,2, Kenichi Imai1 (1Dept. Microbiol., Sch. Dent., Nihon Univ., 2Dept. Oral Surg., Sch. Dent., Nihon Univ.)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,肺胞が破壊される肺気腫や慢性気管支炎の総称で,世界の死因第4位である。COPDは呼吸機能を著しく低下させ,増悪をきっかけに死に至ることも多い。最近,疫学研究により歯周病がCOPDの発症や増悪に関与していることが報告された。また,COPD増悪患者の喀痰から歯周病原菌Fusobacterium nucleatumFn)が検出され,さらにFnに対する抗体が検出されることから,FnがCOPDの増悪に関与していると考えられる。そこで,我々はCOPDモデルマウスを作製し,Fnの誤嚥がCOPDの重症化に及ぼす影響を検討した。C57BL/6Jマウスにブタエラスターゼを経気道投与後3週間飼育し,COPDモデルマウスを作製した。COPDモデルマウスおよびコントロールマウスにFn死菌もしくはPBSを7日間連続投与し,投与後1,3,42日目に解析した。投与後42日目の平均肺胞隔壁間距離(Lm)を測定した結果,COPDモデルマウスにおけるFn投与群では,PBS投与群に比べ著しく肺胞が破壊されLm値が増大していた。一方コントロールマウスにおいては,Fn投与群とPBS投与群間に有意な差を認めなかった。肺へ遊走した炎症細胞数を調べるため,気管支肺胞洗浄液中の細胞数を測定した。その結果,COPDモデルマウスにFnを投与した群では,他の群に比べ有意に好中球などの細胞数が増加していた。肺胞の破壊に関与するMMP-12およびパーフォリンの肺における発現をwestern blotにて解析した結果,COPDモデルマウスおよびコントロールマウスにFnを投与した群では発現の増加を認めた。以上の結果から,COPDの重症化にFnが関与している可能性があり,口腔環境を健康に保つことはCOPD重症化の予防につながることが示唆された。