[ODP-190] Autophagy-related gene 9 regulates intracellular invasion of Group A Streptococcus
オートファジーは栄養飢餓状態になると誘導され細胞質成分を非選択的に隔離し,リソソームと融合して内容物を分解するだけでなく,細胞内に侵入した細菌を選択的に分解する自然免疫機能を果たす。オートファジーはULK1複合体,PI3K複合体,オートファジー関連因子(ATG)結合反応系,ATG9小胞の5つの機能グループであるATGタンパク質がヒエラルキカルに協調して細胞内膜動態を変化させることで誘導される。しかしながらATGタンパク質は細菌感染においてオートファジー誘導因子としての解析は進んでいるが,それ以外での膜動態の制御機能についてはほとんど明らかにされていない。細菌の細胞内侵入および細胞内増殖過程では,宿主内でのメンブレントラフィックが宿主・菌側の因子によりドラスティックに変化することから,細菌の細胞内動態にATGタンパク質が関与すると予測し,ATGタンパク質の細菌感染における生理機能を解明することを目的とした。ヒト上皮細胞のHeLa細胞のATGタンパク質ノックアウト(KO)株に,A群レンサ球菌(Group A streptococcus:GAS)を感染させ,細胞内侵入・細胞内増殖を検証したところ,ATG9 KO細胞においてGASの細胞内侵入率が低下していた。また,ATG9はULK1によりエンドソームへの局在を制御されいることから,ULK1をノックダウン(KD)した結果,HeLa野生型では侵入率が低下するのに対し,ATG9 KO細胞ではKDによる侵入率への影響は見られなかった。また,ULK1複合体因子であるFIP200やATG13のKOでは侵入率が減少しなかった。以上の結果から,GASの細胞内侵入をATG9とULK1が制御しており,これはオートファジーを制御するULK1複合体とは異なる機能によることが示唆された。