[ODP-204] Metagenomic and resistome analysis of an effluent of urban sewage treatment plants in Tokyo
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)およびCTX-M型基質拡張型ß-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌は,医療・獣医分野のみならず,環境からの検出も報告されている。環境中の薬剤耐性菌の実態を俯瞰的に把握すべく,2年間の夏および冬季に渡り,東京都8箇所の下水処理場排水を用いて,比較メタゲノム解析およびレジストーム解析を実施した。メタゲノム解析の結果,細菌叢の組成は季節性に相関を示すことが明らかとなり,冬期では複数の環境細菌が多く検出され,夏季ではStreptococcusおよびEscherichia属細菌が多く検出される傾向を示した。レジストーム解析の結果,最も多く検出された薬剤耐性遺伝子は,sul1およびqacE関連遺伝子であり,class 1 integronのintI1の存在比率と正の相関を示した。検出されたアミノグリコシドおよびマクロライド耐性遺伝子中で最優勢の遺伝子は,それぞれaadA6およびmsr (E) であった。ß-ラクタマーゼ耐性遺伝子は,blaOXA,blaGES,blaIMPが顕著に検出されたが,blaCTX-Mクラスターの存在率は僅かであり,blaOXAおよびblaGES等は,臨床的に問題となる病原細菌由来ではなく,環境細菌由来であることが示唆された。また,夏季にはblaGES-1関連,qnrS2/qnrS6,aac (6’)-Ib,mef (C) が,冬季にはmsr (E) ,aadA13, blaOXA-372/641が多く検出される傾向を示し,温度依存的な影響により下水処理排水中で増減した細菌が保有している可能性が示唆された。下水処理排水の定期モニタリングにより,各地域における薬剤耐性菌の汚染状況の実態,更に,今後の動向を把握できると期待される。