The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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7 Antimicrobials and Drug Resistance

[ODP7C] c. Others

[ODP-220] Estimation of Plasmid Genetic Background by using UGS analysis of ESBL coding gene

○Nobuyoshi Yagi, Saki Tawata, Itaru Hirai (Lab. Microbiol., Sch. ‍Health. Sci., Univ. Ryukyus)

【背景】基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌の拡散動向の追跡は,ESBL産生菌の拡散制御対策上重要である。しかし,これまでにESBL産生菌の動向追跡に必要な迅速で簡便な遺伝学的背景の多検体解析法は存在していなかった。これまでの研究で,ESBL遺伝子の上流遺伝子構造(ESBL-UGS)の,Adaptor-Ligation-mediated PCRを用いた多検体解析法を確立し,細菌染色体上にESBL遺伝子を持つ菌株の遺伝学的背景の比較を行った。しかし,ESBL-UGS解析により,プラスミドの遺伝学的背景の比較が可能かどうか分かっていない。本研究では,ESBL-UGS解析により,プラスミドの遺伝学的背景を比較検討した。
【対象・方法】ベトナム健常人糞便検体由来のESBL産性大腸菌168株から検出された8種類のESBL-UGSタイプ(UGS_Type_1~8)をBLAST検索し,64件と最もヒット数の多かったUGS_Type_3の構造を持つプラスミドの全塩基配列をGenBankから入手した。得られた配列の遺伝学的背景を,PlasimdFinder,ResFinderなどのデータベースを用いて解析した。
【結果・考察】UGS_Type_3構造をもつプラスミドは,約11kbp~400kbp程度の長さで,ESBL遺伝子以外にもfosA (64/64) やmcr-1.1 (50/64) など様々な薬剤耐性遺伝子を高頻度に有していた。また,64配列中56配列において,IncHI2とIncHI2A両方のIncタイプを有しており,これらのプラスミド配列の全長を比較すると,プラスミド間の類似性は非常に高いことが明らかとなった。このことから,UGS解析とプラスミドレプリコンタイピングの併用により,類似した遺伝学的背景を持つプラスミドの推定が可能であることが示唆された。