[ODP-225] Role(s) of the MexXY muitidrug efflux system on pyoverdine production in Pseudomonas aeruginosa
緑膿菌の薬剤耐性は,医療関連感染対策上深刻な問題となる。緑膿菌の主要な内因性の薬剤耐性因子として,基質域が広く,多くの抗菌薬の耐性を付与するRND型多剤排出ポンプがある。緑膿菌の薬剤耐性に関与する4つのRND型多剤排出ポンプのうち,MexXY系はアミノグリコシド系薬の耐性因子として報告されている。MexXYは野生株ではタンパク質合成阻害や酸化ストレスなどのストレス条件で誘導産生されるが,MexXYの本来の生理機能は良く分かっていない。緑膿菌4株及びそれらのMexXY欠損株の運動性および色素産生を測定したところ,4株ともMexXY欠損により蛍光性色素であるピオベルジン産生量が増加した。4株のうちMexXY過剰産生株である薬剤耐性緑膿菌PA7の増加比が最も大きかった。PA7のMexXY欠損株から構築したMexXY相補株は,空ベクターを導入した株と比較して,ピオベルジン産生量が有意に低いことから,MexXYの遺伝子発現がピオベルジン産生量を減少させることが示唆された。緑膿菌は,微量ミネラルである鉄を獲得するため,シデロフォアであるピオベルジンを分泌することから,MexXY欠損株はMexXY産生株より鉄不足に陥りやすい,または余分の鉄が必要であると予想される。多剤耐性緑膿菌のハイリスククローンは,MexXY系産生量が高くピオベルジン産生量は低い傾向にあるという報告がある。今回の報告は,緑膿菌が内因性薬剤耐性因子の産生を亢進させることで,病原因子の産生量を減少させる実験的証拠の一例となる。