The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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8 Application of Microorganisms

[ODP8B] b. Biotechnology, and Synthetic Biology

[ODP-232] Clinical applicability of phage-derived lytic enzyme S25-3LYS to canine superficial pyoderma

○Ichiro Imanishi1, Koji Nishifuij2, Ryota Asahina3, Shunji Hayashi1, Tomohiro Tsukui4, Jumpei Uchiyama5 (1Dept. Microbiol, Sch. Med., Kitasato Univ., 2Dept. Vet Interanal Med, Sch. Agr., Tokyo Univ. of Agriculture and Tech., 3Dept. Dermatol, Sch. Med., Kyoto Univ., 4Nippon Zenyaku Kogyo Co., Ltd., 5Dept. Microbiol 1, Sch. Vet., Azabu Univ.)

【背景】ブドウ球菌が原因となるイヌ表在性膿皮症は,最も受診が多い疾患の1つである。近年,病変部から薬剤耐性ブドウ球菌が分離される頻度が増加している。バクテリオファージがコードする溶菌酵素は,その作用機序より耐性菌の出現リスクが小さい。溶菌酵素(S25-3LYS)は,ファージS25-3由来のペプチドグリカン分解酵素であり,ブドウ球菌特異的に殺菌する。本研究では,本酵素の臨床応用に向けて,(I)健常犬の皮膚に対して与える影響,(II)イヌ表在性膿皮症の実症例に対する臨床効果を検討した。
【方法と材料】(I)健常ビーグル犬6頭の側腹部を剃毛後,S25-3LYSを14日間連日塗布し,経表皮水分蒸散量(皮膚バリア機能破壊の程度),病理組織学的検査および皮内反応試験により本酵素の安全性を検討した。(II)イヌ表在性膿皮症の罹患犬15頭にS25-3LYSを14日間連日噴霧し,臨床スコア,経表皮水分蒸散量および皮膚細菌叢の変化を評価した。
【結果と考察】(I)S25-3LYSの塗布は,経表皮水分蒸散量,表皮厚,浸潤する炎症細胞数および皮膚細菌叢の構成に影響を与えなかった。また,S25-3LYSの免疫原性を皮内反応試験により評価したが,炎症を惹起する犬はいなかった。(II)S25-3LYSの噴霧により膿皮症の臨床スコアと経表皮水分蒸散量に改善を認めた。さらにS25-3LYSの噴霧により,病変部の皮膚ぬぐい液から分離されるブドウ球菌量が減少した。以上から,S25-3 LYSの安全性およびイヌ表在性膿皮症に対する有効性が示された。本酵素はイヌ表在性膿皮症の薬剤耐性の問題解決に寄与することが期待される。