第94回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表(ODP)

8 微生物の応用

[ODP8B] b. バイオテクノロジー・合成生物学

[ODP-235] ウェルシュ菌の新規アラビノース誘導型発現系の開発

○荒川 利行1,川畑 博暉1,成谷 宏文2,宮田 茂1 (1中部大学大学院応用生物学研究科,2十文字学園女子大学人間生活学部食品開発学科)

【目的】Clostridium属細菌は多種の有用なタンパク質を生産するが,その遺伝子が極端にAT-richであるため,大腸菌などの発現系を用いた場合,特に高分子量タンパク質の大量発現は困難である。これらの問題を解消するために,我々はClostridium difficileのキシロース利用オペロン由来のレプレッサー遺伝子を有する発現ベクターpXCHや,T7プロモーターを有する発現ベクターpCC13を用いたC. perfringens発現系を開発し,多くのClostridial proteinの発現に成功してきた。今回,新規にアラビノース誘導型発現系の構築を試みた。
【方法及び結果】C. acetobutylicumのアラビノース利用オペロン由来のレプレッサー遺伝子araRとオペレーター領域OaraD,プロモーター領域ParaDと考えられるDNA断片をpCC13のT7プロモーターと置換してpCC17を構築した。得られたpCC17に各種遺伝子をクローニングし,C. perfringens 13を形質転換した。
また,yplC遺伝子の上流域及びα毒素遺伝子(plc)下流域のそれぞれ約1 kbを,ゲノム編集用ベクターpXMにクローニングし,染色体上のyplC-plc領域の置換用ベクターpXM-YPを構築した。pCC17の制御領域とともにコドンを改変したT7 RNA polymerase遺伝子(mT7rpo)をpXM-YPにクローニングしたプラスミドでC. perfringens 13株を形質転換し,yplC-plc領域がaraR-OaraD-ParaD-mT7rpoに置換したC. perfringens AmT7株を得た。この株を,pCC13のT7プロモーター下流にC. acetobutylicumのendoglucanase等をクローニングした発現プラスミドを構築で形質転換した。
得られた形質転換株はすべて,アラビノースの添加により発現誘導が可能であることが明らかとなった。