[S1-4] バクテリアにおける銅・亜鉛スーパーオキシドディスムターゼの機能とその成熟化メカニズム
銅・亜鉛スーパーオキシドディスムターゼ(SodC)は,銅イオンと亜鉛イオンを結合することでスーパーオキシド(O2−)の不均化を促進する抗酸化酵素である。グラム陰性菌では,ペリプラズム空間にSodCが局在しており,好中球によって貪食される際に発せられるO2−から菌を保護する役割が考えられている。実際,病原性サルモネラ菌には二種類のSodCが存在し(SodCI, SodCII),SodCIを欠損させることで好中球に貪食され病原性を喪失することが知られている。一方で,SodCIIを欠損させたサルモネラ菌の病原性には変化がなかったことから,その役割については未だ明確となっていない。SodCIIの発現は増殖定常期に特異的なシグマ因子(σ38)によって制御されていることから,ストレス環境下での生育に必要ではないかと予想されるものの,SodCIIを欠損させても菌の生育には大きな差異が生じないことが報告されている。本発表では,SodCIIがO2−を除去する酵素活性を発現するために必要となる銅・亜鉛イオンを獲得するメカニズムについて考察するとともに,ペリプラズム空間におけるSodCIIの酵素活性がバクテリアの増殖を促進するメカニズムについて発表する。