The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

Symposium

[S10] Microorganisms discussed from the evolutionary point of view

Thu. Mar 25, 2021 3:45 PM - 6:15 PM Channel 2

Conveners: Chikara Kaito (Okayama University), Norikazu Ichihashi (The University of Tokyo)

Co-host :Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas “Evolutionary theory for constrained and directional diversities”
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[S10-3] Adaptive evolution of bacteriophage Qβ in a laboratory

○Akiko Kashiwagi (Hirosaki Univ.)

進化生物学において,進化を研究室で直接観察し,適応進化に貢献する変異やその適応度上昇への貢献度を評価することは重要な課題である。微生物に感染するバクテリオファージは世代時間の短さ,ゲノムサイズの小ささ,集団サイズの大きさのために研究室内進化で上記の課題に対し古くから用いられてきた。
我々は大腸菌に感染する溶菌性ss(+)RNAファージQβを用い,実験進化の手法で適応過程における全ゲノム配列の変化と表現型の変化を明らかにしてきた。Qβのゲノムは4,217塩基のss(+)RNAであり,4つの遺伝子をコードしている。その変異率は約10-4 (substitutions/ nucleotide/round of copying) と高い(Bradwell et al., 2013)。このことから,大腸菌に感染後約1時間で約1000倍に増殖した子孫Qβの90%以上が変異体で,Qβはquasispeciesとして存在すると考えられる。これらの特徴から,DNAを遺伝情報として持つ生物種に比べ,短時間で進化が起こると期待される。
本講演では,我々が行っている2種類のQβの実験室内進化系で見られた適応過程について紹介する。一つは,大腸菌とQβの共進化であり,もう一つは高温適応進化である。共進化系においては,Qβは弱毒化の方向へ変化し,大腸菌は部分抵抗性を獲得する等を伴いながら共進化した。高温適応進化においては,4ヶ月以内という短期間でQβの増殖可能温度域が37℃から45.3℃まで拡大した。これら2つの適応進化について,全ゲノム配列決定に基づき,変異の環境適応への貢献等について紹介する。
Kashiwagi et al., PLoS Genetics, 2011. Kashiwagi et al, J. Virol. 2014, Kashiwagi et al., Arch. Virol., 2018, Hossain et al., Viruses, 2020.