The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Symposium

[S12] Brave New World of Phage

Thu. Mar 25, 2021 3:45 PM - 6:15 PM Channel 4

Conveners: Hiroki Ando (Gifu University・Astellas Pharma), Kotaro Kiga (Jichi Medical University)

[S12-1] Engineering Bacteriophages for Practical Applications

○Shoichi Mitsunaka1,2, Hiroki Ando1,2,3,4 (1Dept. Microbiol., Grad. Sch. Med., Gifu Univ., 2Phage Biologics, Grad. Sch. Med., Gifu Univ., 3G-CHAIN, Gifu Univ., 4Astellas Pharma)

多剤耐性細菌感染症の世界的な蔓延に伴い,バクテリオファージを用いた治療法「ファージセラピー」に注目が集まっている。実際,天然ファージを用いたファージセラピー研究は盛んで,治療実績もある。ファージセラピーでは,ファージの宿主域の狭さや,ファージ耐性菌への対応として複数のファージを混合したファージカクテルを用いるのが一般的である。しかし,製造方法やファージの組み合わせによってはお互いの力価・効果を打ち消しあってしまい,期待通りの治療効果が得られないことが知られている。天然ファージを用いたファージセラピーを基盤としながら,その弱点を補うことはファージセラピーの真の社会実装において重要である。私たちは,合成生物学的手法によってこれを解決できないかと考えている。例えば,単一のファージをベースに様々な宿主特異性を持ったファージを創出できれば,カクテル調製時のバランスを考慮する必要がなくなるかもしれない。ファージは抗菌薬とは異なり,標的細菌の代謝系を利用して「自身の遺伝子を発現させる」ことで殺菌する。従って,遺伝子もしくは遺伝子回路等をファージに搭載し,設計通りの機能を付加することが可能である。例えば,バイオフィルム分解酵素や各種ペプチドを搭載することで殺菌効率の向上も可能だろう。しかしながら,技術的な制限は多く,自由な改変はごく一部のファージに限られているのが現実である。また,改変ファージを創出しても,実社会での利用が認められるのかという問題がある。これらの問題点を克服するためには何が必要なのか,何をすればファージセラピーの社会実装が可能になるのか。私たちの取り組みも含めてご紹介したい。