第94回日本細菌学会総会

講演情報

シンポジウム

[S5] 集団微生物学と細菌バイオフィルム研究の前線

2021年3月24日(水) 09:15 〜 11:45 チャンネル3

コンビーナー:野村 暢彦(筑波大学),泉福 英信(国立感染症研究所)

共催:JST ERATO野村集団微生物制御プロジェクト

[S5-1] 集団微生物学としてのバイオフィルム研究

○野村 暢彦1,2,豊福 雅典1,2,尾花 望2,3,4 (1筑波大・生命環境,2筑波大・微生物サステイナビリティ研究センター,3筑波大・医学医療,4筑波大・トランスボーダーメディカルリサーチセンター)

細菌は単細胞生物であるため,これまで一匹狼のように単独でかつ単純なふるまいをしながら生活していると考えられてきた。しかし,現在では,地球上のほとんどの細菌は集団つまりバイオフィルム(BF)の状態で存在していることが明らかになってきた。そして,全ての動物・植物にはそれらの表層また体内にも多くかつ多様な細菌がBF状態で存在している。それらのBF制御のためBFの理解は必須である。BF形成は,細菌の環境適応機構として理解されている。我々は,温度変化によってBFの構造・質を変え適応しようとしていることを明らかにした(1)。一方で,細菌はBFを形成することで,多様な自然突然変異株が出現することや遺伝子発現の局在性などが明らかになって来ている。それらに関連する最新の微生物間コミュニケーション機構(細胞膜小胞(メンブレンベシクル(MV)))を含めて紹介させて頂く(2-5)。
1) Obana N., et al. (2020) NPJ Biofilms and Microbiomes 6.
2) Turnbull L., Toyofuku M., et al. (2016) Nature Communications 7, 11220.
3) Toyofuku M., et al. (2017) Nature Communications 8, 481.
4) Toyofuku M., Nomura N., Eberl, L. (2019) Nature Reviews Microbiology 17.
5) Obana N., et al. (2017) Infection and Immunity 85.