The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Special Lecture

[SL1] Advances in NGS-based bacterial genome analyses

Tue. Mar 23, 2021 2:00 PM - 3:00 PM Channel 1

Chair: Mariko Naito (Nagasaki University)

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[SL-1] Advances in NGS-based bacterial genome analyses

○Tetsuya Hayashi (Dept. Bact., Fac. Med. Sci., Kyushu Univ.)

細菌のゲノム解析は,1990年代半ばから始まり,ゲノム情報を基盤とした様々な基礎的・応用的研究が多くの細菌において進んできた。この流れは,2005年以降の次世代シーケンサ(NGS)の登場とその性能の急速な向上により大きく加速された。多数の菌株のゲノムを短期間に解読することが可能となったことは最大の変化であるが,ロングリードシーケンサの登場とその性能向上により,全長配列の取得も容易になってきた。また,計算機の性能向上と並行して,膨大なゲノム配列情報を解析するためのプログラムも次々と開発されていきた。このような技術革新により,細菌のゲノム解析が身近なものになるとともに,以前は不可能であったような様々な解析が可能となってきた。例えば,(1)基礎データがない新規病原菌に対しては,まずゲノム配列を取得してから研究戦略を考えるといったアプローチ,(2)属・種や血清型などの切り口で多数の菌株を網羅した大規模な比較解析,(3)集団感染の高精度分子疫学解析,(4)細菌集団や,その中に含まれる難培養菌の解析,(5)RNA-seq,Chip-seq,Tn-Seq, メチル化解析などによる機能や変異の網羅的解析などである。本講演では,我々の研究を例として,まずキャピラリーシーケンサの時代の研究の流れを簡単に紹介したうえで,上記の研究のうち,(1)~(3)を中心にNGSを用いた解析例を紹介する。本講演を通じて,NGSの利用によって大きく広がってきた細菌のゲノム解析の一端を理解していただくとともに,改めて細菌とそのゲノムの驚異的な多様性に興味を持っていただければ幸いである。