[SODP-01] 新たな株タイピング技術:IRバイオタイパーでのリアルタイム菌株識別
食品メーカー等での汚染源同定・株スクリーニング,臨床分野での院内アウトブレイク予測等,微生物における株タイピング(菌株識別)は需要が高まっている。株タイピング技術の従来法として,DNAを用いた技術(PCR,シークエンス,パルスフィールド電気泳動法)があるが,測定結果までに長時間を要し,また操作の煩雑さと高価で有る為,依然として敷居が高く,その実用も限られている。菌種によっては実験・解析条件から着手する必要があり,測定対象の菌種が限定される点も大きな課題である。弊社では2019年より新しい株タイピングシステムとしてIRバイオタイパーの販売を始め,既に国内の多様な分野のユーザー様に導入して頂いている。IRバイオタイパーはフーリエ変換赤外分光光度計をベースにした,同一菌種における菌株間の相同性を評価するシステムである。菌株間の識別解析には炭水化物・多糖といったC-Oの吸収スペクトル部分を指紋領域として用い,様々な菌種での解析が可能で,簡便な操作で短時間に菌株タイピングが行える。系統樹や散布図で解析結果を示し,菌株間のゲノム距離等の相関関係を調べる事が出来る。食品メーカー等の品質管理の汚染源同定で実用されている事に加え,様々な臨床系菌株での株タイピングにおいてもIRバイオタイパーは従来法(WGS,PFGE等)と同等の株識別能を有する学術論文が多数報告され,IRバイオタイパーが迅速なアウトブレイク予測に使用でき感染管理をサポートする事例も報告されている。本セミナーでは,測定原理・測定事例を紹介しながら,新たな株タイピング技術であるIRバイオタイパーを紹介する。