第94回日本細菌学会総会

講演情報

企業オンデマンド口頭発表

[SODP] 企業オンデマンド口頭発表

[SODP-05] 油中水滴ドロップレット技術を用いた環境微生物のミリオンスクリーニング

本間 宣行1,小笠原 渉2 (1株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ,2長岡技術科学大・技術科学イノベーション専攻)

近年,細菌を含む微生物ハイスループットスクリーニング技術として,油中水滴型ドロップレットやゲルマイクロドロップ (GMD)のようなドロップ(直径:20-100μm程度)を用いた手法が注目されている。培養するための器として活用するドロップレットは,シングルセルレベルでその個々のドロップレットに細胞が封入され,マイクロチューブなどで数100万個以上の培養・保存を可能とする。ドロップレット技術の発展に先駆け,我々はOn-chip Droplet Generatorを開発し,均一サイズのドロップレットの高速生産を容易にすることを可能とした。また,外相が油であるドロップレットは従来のセルソーターでは流すことでさえ困難であったが,我々のOn-chip Sortは世界で初めてエマルジョンの解析・ソーティングを実現することに成功した。
本発表では,土壌環境微生物を対象にドロップレットの技術を用いたスクリーニングを実施した結果を示す。標的活性には,ペプチダーゼというペプチド鎖を加水分解する酵素を選定した。土壌微生物をドロップレット内で培養し顕微鏡観察したところ微生物ごとの多様な増殖形態が確認できた。異なる強度の酵素活性も検出された。On-chip Sortを用いたソーティングでは100万ドロップレットを解析し,高活性を有する微生物をスクリーニングした。そのときの処理時間は6時間であった。絞り込んで獲得した微生物は二次スクリーニングを実施することで,高活性を示す微生物を単離・同定することに成功した。本成果によりW/Oドロップレットを用いたハイスループットスクリーニングはペプチダーゼに限らず,膨大な環境微生物から様々な目的活性を対象に微生物を単離できることが示唆された。