The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Special Session

[SS] Action and revolution of Japanese Society for Bacteriology under COVID-19 pandemic

Tue. Mar 23, 2021 7:00 PM - 9:00 PM Channel 4

Conveners: Ken Kikuchi (Tokyo Women's Medical University), Osamu Matsushita (Okayama University)

[SS3] Fungal (Candida auris and Aspergillus) Outbreak during a COVID-19 Pandemic

○Koichi Makimura (Medical Mycology and Space Environmental Medicine, Grad. Sch. Med., Teikyo Univ.)

新型コロナウイルス感染症蔓延下の院内環境は真菌感染症の高リスクに違いないが,今日まで我が国の本流行下における真菌感染は話題に上がっていない。しかし,海外においては既にCandida aurisおよびAspergillus属によるアウトブレーク報告例が各国より増加の一途にある。本流行下のアスペルギルス症:COVID-19-associated pulmonary aspergillosis(CAPA)は,インフルエンザに併発するアスペルギルス症同様診断が困難であり,高い致命率が知られている。また,我が国で2009年に記載されたC. aurisは,以前より欧州および北米の医療施設におけるアウトブレークが知られていたが,本流行による易感染宿主の増加と医療資源の枯渇・混乱に乗ずるように二次感染としての流行を広げている。一般に深在性真菌症は診断治療が困難であるが,Aspergillus属は近年耐性株が報告されている上,本菌に対する抗真菌薬感受性測定法が未だ保険適用となっていないことから適切な治療が妨げられている可能性が高い。また,C. aurisに至ってはMALDI-TOF MSが唯一保険適用となる同定法であるので,当該機器がない施設では単純に見落とされていることを警戒したい。C. aurisには少なくとも4つの遺伝型があり,我が国の「在来株(Clade II)」は比較的感受性・低病原性であるが,今後侵入が予想される海外の「パンデミック株(Clade I, III, およびIV)」は皮膚定着症例の30%程度が真菌血症を生じ,同症の30%程度が致命的である上,多剤耐性傾向が知られている。本菌は環境生残性が高くその制御が困難であることも報告されている。しかし,本菌パンデミック株の鑑別は一部の研究者にのみ可能である。国家のインフラたるべき基礎微生物学が寸断・矮小化された中にも,かかる事態にあって研究者として果たすべき役割を考えたい。