第94回日本細菌学会総会

講演情報

共催企業ウェビナー

[SW2] 共催企業ウェビナー2

2021年3月24日(水) 12:00 〜 13:00 チャンネル2

共催:ベックマン・コールター株式会社

[SW2] 新型コロナ下での敗血症診断への提言

菊池 賢 (東京女子医科大学)

2016年の敗血症が「臓器障害をきたした感染症」と定義されたが,敗血症時の「感染症」の主流が血流感染であることに変わりはない。敗血症の死亡率は一般病棟で25-30%,ICU入室者だと未だに50%に及ぶ。一刻も早い的確な抗微生物薬治療が患者の救命に直結する。遺伝子診断などの技術が進んだ現在でも,血液培養の重要性は何ら変わることはない。近年,MALDI-TOF MSやPCR systemの導入で,血液培養陽性と同時に起因菌の菌種同定や耐性遺伝子の検出を行うことが可能となってきた。しかし,こうした最新技術の恩恵を受けるには24時間,そこに検査技師がいる必要がある。その一方,2019年末に世界を震撼させるCOVID-19の出現は,医療現場のワークフローにも大きな影響を及ぼしている。検体を扱う臨床検査技師には当然,感染リスクが生じ,COVID-19患者の微生物検査が拒まれる事態も生じている。密な環境下での作業を避ける必要性からも,これまで以上に微生物検査の自動化が求められている。本講演ではこのような血流感染検査の現状と問題点について考え直すと同時に,その診断の基本である血液培養について,新たな方向性を提言してみたいと思う。