The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Workshop

[WS10] Selected from Oral Session: Antimicrobials and Drug Resistance

Thu. Mar 25, 2021 12:45 PM - 2:45 PM Channel 4

Conveners: Hironobu Nakayama (Suzuka University of Medical Science), Kunihiko Nishino (The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka Univ.)

[WS10-4/ODP-206] Functional analysis of intrinsic drug resistance genes in M. tuberculosis using CRISPR interference

○Nao Hirata, Kayo Kumadaki, Motoko Shinohara, Yui Kitagawa, Yusuke Minato (Dept. Microbiol., Med., Fujita Health Univ.)

結核は現在でも世界で毎年1000万人が罹患し,そのうち150万人が亡くなっている。結核は複数の抗結核薬を用いた化学療法により治療可能な感染症である。しかし,治療期間が長期にわたるため副作用等が問題となる。また,既存の抗結核薬に対して抵抗性を示す薬剤耐性結核菌の治療はさらに複雑かつ長期の治療期間を必要とし完治しない例も少なくない。このため,効果の高い新たな抗結核薬の開発が急務である。
本研究は,結核菌の内因性薬剤耐性機構を包括的に理解し,その知見を抗結核薬の開発に応用することを目的としている。結核菌がもつ数多くの内因性薬剤耐性に関する候補遺伝子を効率的に解析するため,我々はCRISPR interference (CRISPRi) 法を用いた。通常のCRISPR法では標的遺伝子に対するsingle guide RNA (sgRNA) によりCas9が誘導され,そのエンドヌクレアーゼ活性によって標的遺伝子が切断される。これに対しCRISPRi法では,エンドヌクレアーゼ活性が欠損したdead Cas9 (dCas9) を用いることにより標的遺伝子上でsgRNAとdCas9が複合体を形成する。このsgRNA-dCas9複合体の作用によって切断を起こさずに遺伝子発現を抑制することができる。我々はこれまでにCRISPRi法を用い,M. smegmatis においてpabB遺伝子が葉酸拮抗薬に対する内因性耐性に関与することを確認している。本研究はこれまでに結核菌の内因性多剤耐性に関与することが示唆されている17の遺伝子についてCRISPRi法による遺伝子ノックダウン株を作製し遺伝子機能解析を実施した。本発表では解析から得られた最新の知見と研究の将来展望についてご紹介したい。
(謝辞)本研究は,AMEDの課題番号JP20fk0108128h0001の支援を受けた。