The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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Workshop

[WS2] Current research on the intestinal microflora

Tue. Mar 23, 2021 1:00 PM - 3:00 PM Channel 4

Conveners: Yoshihiko Sakaguchi (Kitasato University School of Medicine), Hideki Hara (Keio University)

[WS2-2] Comprehensive analysis of the fecal microbiota of healthy Japanese adults

○Kaihei Oki (Yakult Central Inst.)

日本では,地域によって様々な食事・生活習慣が発達してきているが,これらが腸内細菌叢構成に与える影響ついては,十分に解析されていなかった。本研究では,日本人の腸内細菌叢を国レベルで解析し,その構成に影響を与える因子を解明することを目的とした。
初めに,日本各地に居住する健常成人 516名(女性325名,男性191名;年齢21-88歳)から糞便を収集し,16Sメタゲノム解析を実施した。加えて,各被験者に対し94項目の生活習慣アンケートを実施した。
科レベルの糞便細菌叢構成に基づくクラスター解析の結果,2つのエンテロタイプ様のクラスターが男性被験者でのみ観察された。一方,糞便細菌叢の全体的な構成と,居住地および性別との間に顕著な関連性は認められなかった。また,生活習慣アンケートの回答と糞便細菌叢構成を比較した結果,排便頻度と,糞便中のChristensenellaceaeMogibacteriaceaeおよびRikenellaceaeの占有率との間に,それぞれ有意な負の相関が認められた(P < 0.01)。さらに,痩せ型(BMI < 25)の被験者では,肥満(BMI > 30)の被験者と比較して,糞便中の上記3菌群の占有率が有意に高かった(P < 0.01または0.05)。また,糞便中の上記 3 菌群の占有レベルに正の相関を示すとともに,その他14科の細菌群の占有率とネットワーク状の相関関係にあることが示された。
以上の結果から,被験者の性別および居住地域は糞便細菌叢構成に顕著な影響を与えないことが示された。またChristensenellaceaeMogibacteriaceae およびRikenellaceaeが,互いに相関関係にあるその他の細菌群と共に,被験者の高い排便頻度およびやせ型の体形に関与する可能性が示された。