[WS2-6] Omics analysis in fecal transplantation therapy for Clostridioides difficile infection
【背景と目的】Clostridioides difficile感染症(CDI)は,抗菌薬の使用などにより腸内微生物叢の構成が撹乱され,C. difficileが過剰に増殖することで発症する。その主症状は,下痢症・腸炎であり再発例では治療が難渋する。再発性CDI患者に対して糞便微生物移植(FMT)を行ったところ,再発予防効果を示した。本症例の患者とドナーの糞便微生物叢およびその腸内代謝産物を比較解析することによりFMTの影響を調べた。
【方法】5回の再発が認められ,FMTを施行したCDI患者(FMT施行前後)とそのドナーの糞便検体を解析の対象とした。これらの糞便検体について,1)次世代シーケンサーを用いて微生物の構成,2)TOF-MSを用いて代謝産物の変動について解析を行った。
【結果と考察】対象患者とドナーの糞便微生物叢は,FMT施行前に優占種となっていたプロテオバクテリア門がFMT施行後に減少し,その代わりにバクテロイデス門が増加していた。また,FMT施行前に検出されなかった放線菌類およびバクテリオファージ(ファージ)がFMT後に検出された。代謝産物においては,FMT施行前の糞便と比較して,ドナーおよびFMT施行後の糞便で数種類の短鎖脂肪酸(プロピオン酸,イソ酪酸,吉草酸など)が高値を示した。従って,再発性CDIの治癒において,放線菌類,ファージおよび短鎖脂肪酸が重要な役割を演じていると推察された。現在,糞便からファージおよび放線菌類の分離を試みている。
【方法】5回の再発が認められ,FMTを施行したCDI患者(FMT施行前後)とそのドナーの糞便検体を解析の対象とした。これらの糞便検体について,1)次世代シーケンサーを用いて微生物の構成,2)TOF-MSを用いて代謝産物の変動について解析を行った。
【結果と考察】対象患者とドナーの糞便微生物叢は,FMT施行前に優占種となっていたプロテオバクテリア門がFMT施行後に減少し,その代わりにバクテロイデス門が増加していた。また,FMT施行前に検出されなかった放線菌類およびバクテリオファージ(ファージ)がFMT後に検出された。代謝産物においては,FMT施行前の糞便と比較して,ドナーおよびFMT施行後の糞便で数種類の短鎖脂肪酸(プロピオン酸,イソ酪酸,吉草酸など)が高値を示した。従って,再発性CDIの治癒において,放線菌類,ファージおよび短鎖脂肪酸が重要な役割を演じていると推察された。現在,糞便からファージおよび放線菌類の分離を試みている。