[WS3-1] Medication use and the gut microbiome alterations
日本は急速な超高齢化社会に突入している。年齢とともに複数の良・悪性疾患を有する頻度は高くなり,それに伴う服用薬剤種類が多くなることが特徴である。とくに,薬剤は一旦内服すると長期間になり,薬剤の有害事象で入院する患者は増加している。「疾患と腸内細菌叢」との関連を明らかにする研究は増加しているが,疾患治療薬が腸内細菌叢へどのように影響を及ぼすのか?ははあまり知られていない。腸内の菌種組成は,国間で異なるため欧米のデータをそのまま日本人に適応することは難しい可能性がある。また,ヒト腸内の菌種組成や機能組成は個人間の多様性が高いため,多数例のヒト糞便試料を用いた症例対照研究やコホート研究が必要である。さらに,菌組成は,被験者の宿主情報,すなわち体格,生活習慣,食習慣,運動習慣,薬剤内服歴,並存疾患などの違いと密接に関与しているため,糞便採取時の臨床情報収集が重要である。このような背景のもと,我々は,疾患や薬剤と関連する腸内細菌叢を明らかにするために,多数例の日本人を対象に,臨床情報と腸内細菌情報を統合したデータベース構築を開始している。発表では,大規模データによる日本人の腸内細菌の特徴,どのような宿主情報が腸内細菌叢の変動をきたすのか,とくに,網羅的に収集した薬剤情報からどのような種類の薬剤が腸内細菌叢に影響を与えるのか,を中心に公表する予定である。