[WS9-8/ODP-100] Global Genome Epidemiology Database (gGENEPID) for pathogenic bacteria
次世代シークエンサー(NGS)による全ゲノム解読は効果的で俯瞰的なアプローチであり,安価な受託解析や平易な情報解析ツールの開発が進み,病原細菌のゲノム情報が一般に広く公開されている。特に,EU, USA先進国を中心に病原細菌ゲノム情報が多数登録され公開が進んでいる。そこで,感染症法に収載される当該病原細菌を中心に35菌種を選定してゲノムデータベース Global Genome Epidemiology Database (gGENEPID) を開発し,病原細菌ゲノム情報を利活用する研究者を支援するプラットフォームを公開中である(https://gph.niid.go.jp/ggenepid)。NGSデータを我々独自のゲノムアノテーション・パイプライン Automatic Microbial Genome Annotation (AMiGA) により,2020年11月現在で総数956,013 菌株の各種遺伝子型(MLST型,血清型,病原性因子,薬剤耐性因子)をインシリコ解析し一覧表として掲載している。例えば,大腸菌は登録数127,081株に該当し,カルバペネマーゼ NDM 保有する計1,519株の検索・抽出を可能にした。世界各国から多様なST型が分離同定され,比較ゲノム解析や検索・収集を可能にしたプラットフォームである。結核菌は53,672株が登録されており,TGS-TB v2 によるlineage判定や薬剤感受性予測などの結果も閲覧できる。NGSによりゲノム情報を取得できる検査・研究環境であるならば,ぜひとも本データベースをご参照いただきたい。さらなる展開として,ユーザー独自で取得した 分離菌株のゲノム情報(NGSリード)を比較検索してゲノム分子疫学を完結できるシステムへ拡張する予定である。