[YRS3-7] R&D of phage therapy to MRSA infections: (I) Analysis of phage culture by design of experiment
メチシリン黄色ブドウ球菌(MRSA)は,国内外で問題となる薬剤耐性菌である。近年,本菌による感染症に対するファージ療法の導入が期待されている。発表者らは,異分野融合アプローチにより医薬品製造を目指した抗MRSA治療用ファージの研究を行っている。本連携セッションでは(I)実験計画法によるファージ培養の解析,(II)クライオ電子顕微鏡によるファージの構造解析に関して紹介する。(I)実験計画法によるファージ培養の解析医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドラインでは,医薬品のプロセス開発において,高品質な製品を製造するために工程の最適化に統計手法を用いることが推奨されている。工程の最適化のために,少ない試行回数で網羅的に解析できるような実験条件を設定する手段として実験計画法と呼ばれる,数学的な手法が用いられることが多い。バイオ医薬品のプロセス開発では,実験計画法である応答局面法やスクリーニング計画が頻用されてきた。近年,更に少ない条件数でより網羅的に実験条件を設定することが可能となった決定的スクリーニング計画が開発された。抗MRSA治療用ファージにおいても製造工程の最適化のためのプロセス開発が重要である。発表者は,これまでに抗MRSA治療用候補ファージS13’とS25-3を報告した。これらのファージは,異なったウイルス分類である。本研究では,決定的スクリーニング計画を利用して,治療用候補ファージ(S13’とS25-3)の培養の特性解析を行ったので報告する。以上の研究成果は,医薬品製造のファージバッチ培養モデルとなりえる。