The 94th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

Young Researcher Support Symposium

[YRS4] Clinical bacteriology research —Collaboration with clinical and infectious disease physicians—

Wed. Mar 24, 2021 4:00 PM - 6:00 PM Channel 2

Conveners: Toyotaka Sato (Sapporo Medical University), Junichi Wachino (Nagoya University)

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[YRS4-3] Possibility of Immunotherapy for pseudomonas aeruginosa pneumonia

○Mao Kinoshita, Teiji Sawa (Dept. Anesthesiology, Kyoto Prefectural Univ. of Medicine)

細菌感染症に対する抗生剤の不適切な使用は,薬剤耐性グラム陰性桿菌による医療関連感染症をもたらし,現在では医療機関外での市中感染型の薬剤耐性感染症が増加している。その薬剤耐性菌の広がりは深刻で,2050年には年間死亡者数が悪性腫瘍をこえると予測されている。その中で緑膿菌は,新規抗菌薬開発の最も緊急性の高い「重大」の区分に分類されており,免疫力の低下した患者に対して人工呼吸関連肺炎や敗血症を引き起こす日和見感染菌である。多剤耐性緑膿菌(MDRP)といった薬剤耐性グラム陰性桿菌による医療関連感染症が広がり,抗生剤に頼らない治療が社会的に求められている。しかしながら,現時点では緑膿菌感染を予防できる特異的なワクチンも特異抗体もない。我々は,抗菌薬に頼らない新しい予防・治療戦略として,緑膿菌の主要な病原性であるⅢ型分泌システムを標的とした免疫学的アプローチを研究してきた。これまでに緑膿菌感染症に対する抗体療法・ワクチン療法の開発に取り組む中で,緑膿菌V抗原に対する特異的抗体療法,緑膿菌V抗原に対する各種アジュバントを添加したワクチン療法,緑膿菌を含めたグラム陰性菌のヒト血清抗体価プロファイリングを中心にヒト血清抗体価測定システムを構築し,それを基盤として血液中の免疫グロブリン分画の一部に抗緑膿菌作用が多く含まれることを明らかにした。今回,細菌感染に対するワクチン,抗体療法の過去から現状を省み,加えて臨床医の立場から我々のこれまでの取り組みについてまとめる。