The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

Presentation information

ICD講習会

[ICD] 事前予約者のみ 参加可 ※事前予約者のみにICD事務局からZOOM情報を通知しております)

Thu. Mar 31, 2022 3:30 PM - 6:00 PM Channel 1

Convener: Ken Kikuchi(Tokyo Women’s Medical University)

[ICD-4] 永寿総合病院における新型コロナクラスター対応

Nobuhiro Ikeda (Eiju General Hospital)

2020年3月,東京都台東区の中核病院である永寿総合病院(400床)では,全国に先駆けて新型コロナウイルスによる院内クラスターを経験した.
感染防止委員会を設置し,感染防止対策加算Ⅰを取得.感染制御部に医師3名(うち感染症専門医兼ICD1名),ICN1,薬剤師1,検査技師1のチーム体制を取っていた.月一回の感染防止委員会開催,年2回の全職員対象感染対策講習会開催,感染対策のスタンダードプリコーションズ,感染防止委員会の院内巡視など定期的に行い,標準的な感染予防対策は行っていたと考えられる.
しかし,新型コロナウイルスによる院内クラスターは発生した.3月下旬,内科系病棟の看護師に感冒症状が多数発生し,入院患者にも発生し始めた.PCR検査施行したところ次々と陽性者が発見され,病院全体に広がっていたことが分かった.最終的に,院内で新型コロナウイルス陽性者が合計214人発生.うち患者およびご家族は131人,職員は83人,死亡者は患者のみで43人に上った.
まずは保健所の指導によって感染対策を行い,次いで厚労省クラスター班の介入があって,病院全体の感染状態把握の上,コホーティング,ゾーニングなどを行った.これによって2か月でようやく終息し,業務再開に至った.
クラスターに至った経緯についてはいまだ調査過程にある.PCR陽性者はほとんどが入院患者及び病棟看護師,病棟勤務医師であった.薬剤師・検査技師・放射線技師に感染者はいなかった.外来患者3階DMセンターから数名の陽性者が出た.内視鏡室,検査科での感染は認められなかった.
教訓としてクラスターは内部から発生するため,対外的守りだけでは不十分.内部発生への対策が必要と考えられた.