第95回日本細菌学会総会

講演情報

学会企画 中・高校生研究発表セッション

[JRS] 中・高校生研究発表セッション

2022年3月29日(火) 14:30 〜 19:25 チャンネル3

コンビーナー:河村 好章(愛知学院大学),寺尾 豊(新潟大学),垣内 力(岡山大学)

[JRS-12] ヨーグルトが出来たか確かめる指標の開発

飯田 昌敏,上中 悠矢,大谷 優真,岸本 瑚春 (奈良県立青翔高等学校)

微生物燃料電池とは微生物が呼吸する時に出す電子により発電できると知られている(高妻篤史ら 2009).乳酸菌は微生物燃料電池を形成する(江邊ら 2014).そこで,呼吸が盛んになり,乳酸が生産されるほど,電圧が上昇するのではないかと考え,ヨーグルトが凝固したかどうかの新たな指標として電圧が利用できると明らかにすることを目的とした.また,地元企業の井上天極堂から提供された,御所産のクズの根から単離培養した植物性の乳酸菌(Lactococcus lactis)も使用した.なお,この乳酸菌の株が発電した先行研究は無い.
豆乳400ml+クズの根の乳酸菌1.2g,液体培地(GAMブイヨン Code05422 ニッスイ)400ml+クズの根の乳酸菌1.2gを用いて,電圧を測定した.微生物燃料電池は江邊ら(2014)を参考に作成した.液体培地を用いたのは,凝固しなければ電圧が低下しないことを確認するためである.
豆乳,液体培地では,実験開始時それぞれ0.014V,0.018V,実験開後9時間後は,それぞれ,0.007V,0.035Vであった.最大電圧は,それぞれ0.014V,0.035Vであった.豆乳では,ヨーグルトが凝固すると電圧が下がった.また,液体培地は凝固せず,電圧は0.035Vを保った.
このことから,ヨーグルトが凝固すると電圧が下がり,凝固しない限り,発電し続けるとわかった.凝固したかどうかの指標に電圧が使える可能性があるとわかった.牛乳を用いたヨーグルトの場合,凝固するとカゼインの網目状構造に乳酸菌が吸着され,移動できなくなると知られている.豆乳の場合も凝固すると電子や乳酸菌が何らかの影響で移動できなくなることが電圧を低下させると考えた.