The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP3] 1. Taxonomy / Epidemiology / Infectious diseases -c. Isolation and characterization of clinical isolates

[ODP-014/W5-3] Characterization of Clostridium tetani detected from the soil in Kumamoto prefecture

Chie Shitada1, Tsuyoshi Sekizuka2, Chiyomi Sakamoto1, Makoto Kuroda2, Motohide Takahashi1 (1Kumamoto Health Science Univ. Toxin and Biologicals Research Laboratory, 2Pathogen Genomics Center., NIID)


【背景・目的】熊本県内の破傷風患者は,年間に数例の報告があり,乳児期・児童時の破傷風トキソイド関連ワクチン接種後に獲得した抗体が著しく低下する40歳以上で,患者の報告件数が多い.感染リスクを科学的に証明することを目的に県内の土壌を採取し破傷風菌の分離・同定をおこなった.
【方法】任意の場所から1か所につき地表面と10cm下層の2つの土壌を採取し,クックドミート培地に添加後,80℃,60℃の処理後および非加熱の条件で37℃培養した.培養菌液は以下の検査をおこなった.細菌学的検査としては各培養菌液は血液寒天培地に接種し37℃で嫌気培養し,培地表面を遊走した先端をグラム染色し,特徴的なフィラメント状の長桿菌を確認した.遺伝学的検査は2組のプライマーを用いてPCRによる遺伝子増幅をおこない331bp,229bpの産物を確認した.また,イルミナ社の次世代シークエンサーでゲノム解読し,共通するゲノム領域を特定し,塩基変異をもとに分子系統を比較・解析した.免疫学的検査として培養菌液をフィルターろ過滅菌後,マウスの左大腿内側皮下に接種した.破傷風毒素による強直性の麻痺,死亡が確認された場合は,破傷風抗毒素の添加による毒素の中和試験をおこなった.
【結果・考察】32ヶ所の採取場所のうち23か所で破傷風菌を検出(71.8%)し,69株を分離・同定した.過去の破傷風菌の分布調査報告に比べて高い分離率となったが,熊本県内の特徴ではなく,分離方法・条件を熟慮して実施した成果と考える.限定的な県内の地理条件でも少なくとも異なる3系統の破傷風菌が分布していることが示されている.