[ODP-016] Lautropia mirabilisの分離・培養および検出法の確立と分離株の薬剤感受性に関する解析
Lautropia mirabilis(Lm)はヒトの口腔から分離されるグラム陰性通性嫌気性球菌であるが,その性状の多くは不明である.これまでに造血細胞移植において移植後に口腔粘膜上細菌叢の主要構成菌がLmとなった患者が存在した.そこでLmの性状を調べるために,本菌の検出法と簡便な分離・培養法の確立,さらには薬剤感受性試験を行った.実験方法として,まず検出法確立のためにゲノム情報からrecAを標的としたPCRプライマーを設計し,本菌を含む口腔内細菌を対象に設計したプライマーの精度を確認した.分離・培養法の確立では,数種類の寒天培地を用いて頬粘膜ぬぐい液からの本菌の分離・培養を試みた.次に分離した菌株を用いて,ディスク法とEtestにより,薬剤感受性試験を行った.抗菌薬は造血細胞移植や歯科臨床で用いる薬剤から選択した.以上の実験から,recAを標的としたPCRを行ったところ,Lmのみが増幅され,その特異性を確認した.頬粘膜由来試料の培養ではMacConkey培地上に少数のコロニーが形成された.前述のプライマーを用いたPCRにより一部のコロニーで増幅がみられ,さらに16SrDNAの配列はLmの配列と一致した.以上より,recAを標的としたPCRでLmが特異的に検出され,MacConkey培地により効率的にLmを分離・培養できることが示された.薬剤感受性試験の結果,レボフロキサシン・セフカペン耐性株が1株存在したが,その他の株はほとんどの薬剤に対して感受性を示した.造血細胞移植では抗菌薬を併用することも多く,その中でLmが生存し続ける可能性は低いと考えられる.