第95回日本細菌学会総会

講演情報

オンデマンド口頭発表

[ODP3] 1. 分類・疫学・感染症-c. 臨床微生物の分離・性状

[ODP-019] 鶏農場の継時的検査で分離されたCampylobacterの遺伝子型分類

山本 倫也1,溝手 朝子3,豊福 肇2 (1山口県立大・健福,2山口県立大・看栄,3山口大・獣)


Campylobacter食中毒は,わが国の細菌性食中毒の中で最も発生件数が多く,主要な感染源は鶏肉類である.本研究では,中国地方の鶏農場において,鶏のCampylobacterの汚染状況を継時的に調査し,分離株の遺伝子型の解析等を行った.調査時期は2018年10月から2021年11月まで,検査材料は鶏の盲腸便とした.Campylobacterは標準試験法に則って分離し,菌種はPCR法により同定した.遺伝子型別はMLST解析及びmP-BIT法を用いパターン化した.分離株は全てC. jejuniで,[ST22/mP-BITタイプ:0-260]と[ST4325/mP-BITタイプ:11-311]の2種類の遺伝子型の株が継続的に分離された.これらの遺伝子型のC. jejuniは,鶏舎内の環境中に長期間に渡って生残し,鶏を汚染している可能性が考えられた.また,mP-BIT法による遺伝子型別は,本調査のように限られた農場内の検査であれば,MLST解析の前段として,スクリーニングに適していることが示唆され,経済的・時間的節約が可能であると考えられた.(農林水産省18072554)