[ODP-031] Impact of Gut Microbiome on Dyslipidemia in female : Shika Study Results
【背景】近年の研究において,腸内細菌叢構成の変化が種々の生活習慣病に影響を及ぼし得ることが示唆されているが,脂質異常症と腸内細菌叢の変化との関連性については明らかでない.今回我々は,石川県羽咋郡志賀町に居住する住民を対象に行っている「志賀町スーパー予防医学検診」を利用し,腸内細菌叢の変化と脂質異常症との関連性について検討した.
【方法】2020年1月に実施した「志賀町スーパー予防医学検診」に参加し各種検体検査および糞便採取を行った40歳以上の被験者234人のうち,脂質異常症の薬物治療中でない女性90名(脂質異常症該当者42名,脂質異常症非該当者48名)を対象とした.対象者の糞便から細菌ゲノムDNAを抽出し,16S rRNAのV3V4領域に対してPCRを行った上でMiSeqにてNGSを行った.NGS後の腸内細菌叢の構成解析には,Qiime1ソフトウェアを用いた.
【結果と考察】共分散分析の結果,脂質異常症該当者は有意にEscherichia/Shigellaの存在比が高く,Faecalibacteriumの存在比が低いことを見出した.またRandamForestを用いた脂質異常症の予測モデルで,この2菌が脂質異常症発症有無と関連性があることが推測された.その2菌と血中脂質量の因果関係をLinGAMによる因果探索により検討した結果,Escherichia/Shigellaの存在比率の減少がFaecalibacteriumの存在比率を増加させ,LDL-C減少・HDL-C増加と関連することが考えられた.以上の結果より,Escherichia/ShigellaとFaecalibacteriumの存在比率の変化が血中のLDL-Cと HDL-Cの量的変化に関与し,脂質異常症の発症リスクを左右する可能性が示唆された.