[ODP-039] Effect of D-fructose on the interaction of Fusobacterium nucleatum with host cells
【目的】口腔内に常在する多種多様な細菌は共凝集により歯面や歯周組織，舌上に複雑な微生物コンソーシアムを構築する．Fusobacterium nucleatumは初期定着細菌と後期定着菌の橋渡しをする歯周病関連細菌であり，口腔バイオフィルム形成において中心的役割を担う．我々は，D-フルクトースがF. nucleatumの凝集能に影響を与える環境要因であることを明らかにしている．本研究では，F. nucleatumのバイオフィルム形成能や宿主細胞との相互作用に与えるD-フルクトースの影響を調べた．
【方法】F. nucleatum ATCC25586株をBHIS培地およびD-フルクトース（0.5％）を添加したBHIS培地で培養後，バイオフィルム形成量を比較した．また，各培地で培養したF. nucleatumのCa9-22およびHCT116細胞に対する付着性やこれら細胞株の生理機能に与える影響を調べた．
【結果および考察】0.5％ D-フルクトース添加BHIS培地で培養したF. nucleatumは菌体が縮小し，顆粒状の菌体内構造物が多数形成された．また，歯肉癌細胞であるCa9-22に対してアポトーシス様の変化を誘導し，大腸癌細胞であるHCT116に対しては細胞増殖を促進した．F. nucleatumの自己凝集能はD-フルクトースにより濃度依存的に上昇した．以上の結果から，F. nucleatumは微小栄養環境に応じて付着能を変化させ，宿主細胞の生理機能に影響を与えることが示唆された．