The 95th Annual Meeting of Japanese Society for Bacteriology

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[ODP10] 3. Physiology / Structural biology -a. Metabolism, biosynthesis and metabolome

[ODP-047] Supersulfide biosynthesis pathway mediated by aminoacyl-tRNA synthetase in E. coli

Tomoaki Ida1, Minkyung Jung1, Akira Nishimura2, Tetsuro Matsunaga1, Masanobu Morita1, Tsuyoshi Takata1, Hozumi Motohashi3, Takaaki Akaike1 (1Dept. Environ. Med. Mol. Toxicol., Tohoku Univ. Grad. Sch. Med., 2Div. Biol. Sci, NAIST, 3Dept. Gene Exp. Regulation, IDAC, Tohoku Univ.)


【目的】我々はこれまで,強力な求核性を有するシステインパースルフィド(CysSSH)などの超硫黄分子の生体内生成を見出し,主要なCysSSH生成系としてcysteinyl-tRNA synthetase (CARS)を同定した.一方,CysSSH生合成系の全貌は明らかではない.そこで本研究では,大腸菌におけるCysSSH合成機構について解析した.
【方法・結果】CARSに種横断的に高度に保存されたアミノ酸配列(KIIKモチーフ)とその周辺アミノ酸配列を同定した.組換え大腸菌由来CARSを用いた超硫黄代謝解析により,KIIKモチーフ周辺のアミノ酸配列がCysSSH合成活性を制御していることがわかった.さらに,CARSはシステインを基質にした酵素反応において光学異性体特異性はなく,基質としてシステイン以外のチオール含有化合物からそのパースルフィド体を合成することが示された.一方,CARS以外の19種のアミノアシル-tRNA合成酵素のCysSSH合成活性を各種組換えタンパク質を調製し,検討した結果,興味深いことにCARS以外にも,leucyl-tRNA合成酵素を筆頭にCysSSH合成活性に差異はあるものの,全てのアミノアシル-tRNA合成酵素がCysSSH合成活性能を有することが見出された.
【考察】生物進化論上,全てのアミノアシル-tRNA合成酵素は,同一起源から発して進化してきたと考えられている.セントラルドグマである翻訳のマスター酵素である全てのアミノアシル-tRNA合成酵素がCysSSH合成活性を有することは,生物進化初期にCysSSH合成能を獲得し,生成される超硫黄分子が生命維持や生物進化等に重要な役割を果たしていることが示唆される.