[ODP-057] Enhancement of biofilm formation by OMVs released from Aeromonas
【目的】Aeromonasは河川や汽水域等に棲息するグラム陰性の食中毒起因菌である.本菌は,医療機器にbiofilmを形成後,人へ感染することも報告されている.これまでの研究で,本菌が遊離するouter membrane vesicles(OMVs)がbiofilm形成を促進することを報告しているが,その作用メカニズムは不明である. そこで,biofilm形成能が異なる3菌株で,本菌のbiofilm形成におけるOMVsの影響について解析を行なった.
【結果と考察】まず,biofilm形成能が異なる3菌株(102, 104, 106株)に各々のbiofilmから精製したOMVsを添加し,biofilm形成量の変化を解析した.その結果,biofilm形成能の弱い102株にはOMVsによるbiofilm形成促進作用は認められなかったが,biofilm形成力が中程度の104株,biofilm形成能が強い106株にはOMVsによるbiofilm形成促進作用が認められた.次に,3菌株と各々のOMVsをそれぞれ交差的に反応させ,biofilm形成能を比較すると,102株にいずれのOMVsを作用させてもbiofilm形成が認められなかったのに対して, 106株ではいずれのOMVsを作用させてもbiofilm形成を促進した.104株では,106株由来のOMVsを作用させた場合にbiofilm形成の促進が認められなかった.以上より,OMVsによるbiofilm形成促進作用はOMVsが作用する菌体の性質にも依存する可能性が示唆された.次に,106株がいずれのOMVsに対しても強い感受性を示す理由について検討するため,106株のbiofilmのECM成分の解析した.その結果,106株のみECM中に鞭毛が多数認められることを発見した.観察された鞭毛にはOMVsが多数結合していたことから,鞭毛がOMVsの菌体に対する作用頻度を向上させているのではないかと考えている.